じいちゃんとさくたろうの夏
季節外れの残暑を吹き飛ばすような台風がいくつもやってきて、猫である僕も否応なしに秋の訪れを感じています。
おじいさん
おじいさんがいなくなってから、3ヶ月が経とうとしています。
暑い日は綿の羽のような掛け布団で休み、時折おじいさんの周りを巡回するのが僕の仕事でした。
寒くなればおじいさんのお席から、失礼しますとこたつに入ったものですが、今年はそれもできないのですね。
おじいさんとの最後の夜、僕は今まで決して乗るまいと決めていたおじいさんのベッドに上りました。
皆が必死でおじいさんの名前を呼んだので、僕はとっても不安になったのです。
僕も大きな声でおじいさん、と呼ばなければいけないと思ったのです。
僕の声はおじいさんのお耳に届いておりましたでしょうか。
おじいさんは僕たち家族を残して旅立たれ、さぞ心配しておられることと思います。
一番上の姉さまの結婚式は、恙無く終わりました。
僕はウェディングドレスなどついぞ見たことはないのですが、実に綺麗な花嫁衣裳だったと聞いています。
おじいさんもご覧になっていたでしょうか。
おじいさんがいなくなり、家の男は僕一人となりました。
僕はまだ10年も生きていない小僧っ子ではありますが、おじいさんの代わりを務め、家を守っていけるよう精進いたします。
いつか僕がおじいさんのお側に行った時には、よくやったと褒めてくださいね。
(2013.9.13 簡易仏壇の前にて)